エボラ出血熱が流行し始めている。
WHOによれば、今後60日で勝敗が決まるとのこと。 勝敗の敗が意味するところは人類の滅亡でありそら恐ろしいが、 厚労省など日本の機関はそれほど危機感を持っていないように思わ れる。心配ではあるが何かできるわけでもなく、 ただ見守るばかりである。ただ若い人達のために、 早く収まって犠牲者が少なく済んで欲しいと願う次第である。
エボラ出血熱は約40年前に発見され、 致死率の高い恐ろしい病気でありながら流行がアフリカの貧しい地 域であるために治療薬開発などに対して投資が進まず、 対処法がないままになっているとのことである。 この点について医療業界の問題を目の当たりにした思いである。
日本でノーベル賞を取った中村教授が会社を訴えたが、 日本の体質として、 リスクを取って成功した者が利益を巨額に取ることをよしとしない 傾向がある。この例ではリスクを取ったのは会社で、 中村氏は毎月の給与を保証されて会社の金で研究するサラリーマン に過ぎなかったが、 成果の半分をよこせという主張に対して世間の同情を集めた感もあ った。自分が資金調達してチャレンジする選択肢もあったのに、 リスクを取らずに成果だけよこせという主張にも呆れるが、 リスクを取った会社に対して還元を求める社会的な風潮にも呆れる 想いであった。
医療業界でも似たような構図がある。 さかんに医療費の抑制が言われているが、医療従事者、 医療機器メーカー、 製薬会社などはそれぞれがリスクを取って今の地位を築いてきた。 それによって医療が大きく進歩したことは間違いない。 ジェネリックの普及など、 既存の技術に対してコストを削減することは一見ノーリスクに見え るが、それは間違いなく将来への投資に対する足枷となる。 一度確固たる地位を築けば、 それを上回るイノベーションがなければ延々と利益を享受できるか らこそ巨額の投資が可能となるのであり、 それがいくら儲けていようとも批判すべきではないのではないか。
エボラに話を戻すが、 このような人類共通の敵となりうる強烈なウイルスについて、 根絶させる治療法やワクチンを開発した会社が大きく報われるよう な仕組を考えるべきである。 現在直面している問題の深刻さを考えれば、 仮に今1人救えれば1億円だとしても決して高くないだろう。
経済合理性が故に放置されてきたエボラウイルスが人類を殲滅する ことになったとすれば、市場対国家ではないが、 市場経済の決定的な敗北である。WHOが言うように、 人類はエボラウイルスに対して出遅れた感があるが、 ここまで積み上げてきた人類の英知にかけて、 対抗策を見つけてくれることを祈りたい。
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